超銀礼賛

そもそも、宇宙人が何を考えているのかなんて、わかるような気がしない。

まして、闘争心むき出しに、いきなり破壊＆無差別殺人を始めるような宇宙人であれば、もちろん理解する必要はなく、悪の権化とでも言っていればよい。

宇宙人でなくても、それでいいのかもしれないけれど。

百歩譲って、これこれこういうわけだから、私はここを破壊し、コイツを殺すのだ！とちゃんと説明してもらったとしても、そうですか、と納得できるわけもない。被害にあった者はソレを悪の権化と呼ぶだろう。

もちろん、この場合も、相手が宇宙人である必要はない。

私が子供の頃、某宇宙戦艦のテレビ放映を見て、なんというか、呆然としてしまったことがあった。

主人公やヒロインが、敵の宇宙人たちのことを彼らも自分たちと同じだ、みたいに言った……のだ。記憶は曖昧です（しみじみ）

要するに、お互い、種族が生き延びるために必死だった。どちらかが滅びなければならなかった。だからそのために戦っただけだ。どちらが善でどちらが悪というようなことではない……のだと。

たしか、勝ってから言ってたような気がするので（倒）調子がいいと言えばいいのだけど、印象に残っているのだった。

似たような話で、ヒロインが自分たちのことを「私たちだって、野菜泥棒じゃない！」と言った場面もあったような気がする。

食料に困って、どこかの星に降りて食べられるモノを探しているときに敵に遭遇して……というような話だったと思うのだけど、これもまた強烈だった。

たぶん、私は某宇宙戦艦のテレビ放映を再放送で見ていたと思うのだけど、それでもこれらは超銀よりもずっと前だった。

ゾアさまはホントに悪の権化だったのか？＞しまむら（汗）なんかヤバくないか？（しみじみ）

一応そう問うてはみたものの、ゾアさまについてはやっぱり悪の権化としか言いようがないよな、という結論にはなると思う。

だから、しまむらたちの判断が間違っていたというわけではない。たぶん（汗）

問題は、ゾアさまが悪の権化かどうか、ということではない。

要するに、ゾアさまは、コイツは悪の権化なのだ！とでも思わなければ、到底説明できない、非常に不条理な行動をする人なのだった（しみじみ）

さらに言うと、そのゾアさまに従って戦いを続けるダガスの人たちだっておかしい。

だから、つまり、ダガス星人は悪！ということになる。

だから、ダガス星人は悪そうな顔をしている（しみじみ）

で、ファンタリオン星人はそうでもないし、コマダー星人も、見慣れない頭の形をしていたりするけれど、顔はなんか善良そうなのだった（しみじみじみ）

私は、ゾアさまがそういうキャラクターである、ということ自体について、やだなーと思っているわけではない。むしろ、わかりやすくて助かるのだった（しみじみ）

困るのは、そういう世界にしまむらたちを入れ、にも関わらずしまむらたちにだけはリアルな人間ドラマを演じることを要求してしまった……ということで（涙）

この世界に、正義の騎士としてしまむらを投入し、捕らわれの姫としてタマラさまを配置し、悪魔としてゾアさまを配置するなら、しまむらの勝利はタマラさまとの結婚につながるはずである。

実際、しまむらは自然にタマラさまと結婚するべき立場に置かれてしまう（倒）。

超銀において、しまむらが不実な男に見えるのは、お嬢さんを裏切った浮気者（踏み）だから、というだけではない。

ジークフリート王子が悪魔を倒してオデットを人間に戻してやり、結ばれ……てみたけど、王子には既に故郷に相思相愛の愛人がいて、美しく優しく善良な彼女を捨てることなど考えられないから、オデットと結婚はできないらしい（しみじみ）

だから、超銀しまむらはなんというか、毛嫌いされてしまうのだと思う（しみじみ）

すごくかわいそうなのだった（しみじみじみ）

実のところ、義憤に燃える青年が、自らの勇気と良心の命ずるまま、虐げられている人々を命がけで救った…からといって、いちいちその国の王女と結婚したりするはずない（涙）

それが、なんというか、現実というものだと思うし、しまむらたちは原則として、現実の論理で動いているのだった。

しまむらの敵は悪の権化・ゾアではまずかったのだと思う。

もし仮にどうしてもそうしなければならないのなら、当然しまむらたちは考えるべきだった。

そもそも、宇宙を支配するって、どういうこと？

ついでに、コズモ博士にもオマエ大丈夫か（怒）と言ってやるべきかも（しみじみ）

その辺りが超銀において揺れまくっていたのは、前にも描いたようにひとつは時代のせいであり、もうひとつはイシノモリ的化け物カオスが「００９」にもともと内包されていたため……なんだろうと思うのだった。