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拍手避難所2007
9.Dr.ギルモア
 
「008…ちょっと、いいかの?」
「はい?…なんでしょう、博士。準備ができましたか?」
「いや、その…これを、受け取ってはくれまいか…と思っての」
「これ…?うわ、ふふ、可愛いなあ…博士が作られたんですか?」
「うむ…」
「珍しいですね、どうされたんです?」
「いや…君の…誕生日にと…な」
「え…?」
「フランソワーズに、口止めされておったんじゃが…みんな、いろいろ用意をしておるんじゃよ。じゃが、ワシは…そのう、申し訳ないが、この会議をどうしても抜けられん…どうやってもその日に帰国することができんのじゃ。だから、せめて…と思っての。気にいってくれたかね?」
「ええ、もちろんです。ありがとうございます、博士」
「そうか…よかった」
「でも、博士がこんな可愛らしいモノを作られるなんて…失礼ですが、想像できなかったなぁ…」
「そう…じゃの。…これも、君たちのおかげかもしれん」
「…博士」
 
「で、コレなんじゃがな、ホレ、こうやってココにつけてもよいんじゃよ」
「…え?…こ、こう…です、か?」
「うむ。その方がよく映えるじゃろう」
「そ、そう…かも、しれませんね…」
「実はフランソワーズに見せたら、すっかり気に入ってな…君に似合うじゃろう、と、それは喜んで…」
「へ、へえ…そう…なんですか」
「たしかに、あの子の言ったとおりじゃ…君にぴったりじゃよ、008」
「……」
「わしは…幸せじゃの。こんな、許されぬ罪を犯した人間が…」
「何をおっしゃいますか、博士…僕たちは、博士を父親と同じだと思っているんですよ…!」
「…ありがとう、ピュンマ」
「……」
 
「じゃが…その、もし…」
「…え?」
「いや。ソレ、なんじゃが。もし、本当は気に入らないようなら…外しておいてよいからの…ワシに遠慮などせんでくれ」
「いえ、そんなことは…!」
「思えば、ワシはお前たちにロクなモノを与えてはこなかった…本当に、気遣いは無用じゃ」
「そんなことをおっしゃらないでください、博士!僕は、あなたを心から尊敬しているし、感謝もしている…信じていただけないんですか?」
「おお、ピュンマ…!」
「博士…!」
 
「じゃが…それはそれとして、じゃよ…もしそれがお前の気に…」
「気に入らないわけないじゃないですか!すごく気に入ってますよ、もう!絶対に手放したくない!」
「…そう…かの?」
「そうですとも!ほら!こうやってみたらどうです?もっと似合うでしょう?」
「…おお!」
「ありがとうございます、ギルモア博士。ずっと大切にします…僕が死んだら、コイツも墓の中に入れてください」
「なに、なにを言うんじゃピュンマ!」
「ふふ、冗談ですよ…さあ、それじゃ空港までお送りしますよ、博士」
「それ…外さんでいいのか?」
「もちろんです…みんなを驚かせてやりましょう」
「…そうか。そうじゃのう」
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