国語の力というのは何だろう…という問題は、結構ややこしかったりする。
ただ、「国語の力をつけるにはどうしたらいいのか」という疑問が出る場合の多くは、「国語」を、大学入試につながっていくような教科としての国語、ととらえている、と思う。
言い換えれば、点数化できる国語の力、とでもいうか…
そうなのだ。
国語の力、というとき、点数化できる種類の力について考えているのか、そうでないのか、というのはまず大事な分岐なのだと思う。
そこで。
とにかく点数化できる種類の国語の力について、考えてみたりする。
点数化するためには、当たり前なのだけど、客観的な基準が必要になる。
そして、これも当たり前なのだけど、個人の言語を扱う能力(というものがあるとして)を客観的に測ることはまず不可能だと思う。
客観的な基準によって測れることはごく限られている。
正しく文字を書くとか。
語の意味を間違いなく把握できているかとか。
少し高度になってくると、詩の形式とか古語とか、慣用句とか。
…で、もちろん、これだけで大学入試はできないので…いわゆる読解力というのが試されたりもするのだった。
もちろん、試験で試すことが可能である以上、読解力というのも、あくまで点数化できる、客観的な基準によって測れる種類の読解力でしかない。
こういう種類の読解力を、読む力、だけだと考えるのは間違っている。
いや、それで間違っていないのだけど、点数化、ということを考えると、
読めただけでは点数にならない
のを忘れてはいけない。
人の心を読むことが不可能である以上、読めた内容について、相手に正しく説明でき、その説明が相手に理解されたとき、初めて点数化は可能になる。
実のところ、読解力がない、と悩む生徒の多くは、この、説明がうまくできない…というところで悩んでいたりするのだと思う。
読めば、書いてあることはわかるのだ。
わかるのに、正解にならないから…困る。
わからないから不正解なのではなく、わかっていることを伝えられないから不正解になる…というか。
逆に、たとえば読んでわからない文章が問題文であっても、正解できる可能性はある。
問題は、尋ねられたことに過不足なく答えることであって、その文章全体を理解するということではなかったりするから。
何を尋ねられているのか。
それがわかれば、あとは、
点数化するためには客観的な基準を満たさなければならない。
ということに留意して、
答えるべきこと
を過不足なく答えればよい。
尋ねられたことについて、どれだけ深く考えたか、とか、どれだけその文章を深く読み解いたか、ということが直接問われているわけではないのだ。
もちろん、問題に正解するには、その文章の深い読解ができていることも、目に見えないながら、必要になるので、結局のところ読解力なしに点数を取るのは不可能なのだけど。
でも、読めればいい、というものではない…と知っておくのは大事だと思う。
国語の力(点数)を上げるために、まずやるべきことは、読む力を上げることではない。
むしろ、問題を書く力…というか、テクニックを身につけることであって。
それには、とにかく多くの記述問題にあたるのがよかったりするのだ。
記述問題にあたるとき、注意する点は3つある。
1つ目は、添削を受け、正解に近い答ができるまで、同じ問題を繰り返し解く、ということ。
添削を受けるのが不可能なら、なるべく詳しい解説がついている問題集を選ぶしかない。
身につけるのはテクニックなのだから、正しい答ができるまで繰り返さなければ意味がない。
この辺は、スポーツの技術に似ているのかもしれない。
2つ目は、全然わからないと思ったときは諦める…ということ。
尋ねられたことに過不足なく答えることを目的にしているわけだが、尋ね方が下手な問題…というのも当然あり得る。
全然わからないときというのは、
自分の力があまりに足りない
か、
出題が下手(正解が出るはずない)
のどちらかであって、どちらの場合であっても、その問題について深追いすることに、その時点では意味がない。
もちろん、全然わからない、と言う前に、とにかく解答を書いてみようとしなければならないのだけど。
3つ目は、必ず答を書く、ということ。
なぜ書かなければならないのか、頭でわかって、それが合っていればいいではないかと言われると、はっきり反論はできないのだけど。
でも、前述したとおり、点数化するためには、書かなければならない。
頭の中で、どんなに見事な答えを構築したところで、それを紙に書いて見せないかぎり、何の意味もないのだ。試験の場合。
試験になれば書けるよ、と考えてもかまわないのだけど、万一書けなかったら0点なのだから…とりあえず書いておいた方がいい。それは間違いない。
読む力を上げるのには時間と手間がかかるが、テクニックを身につけるのは、比較的短期間で確実にできる。
ただ…
テクニックを上げても、自分が持っている読む力を限界まで発揮できるようになる…だけのことで。
その上を望むなら、それはもう、読む力を強化していくしかない。
読む力はどうやって強化するのか…?
というか、読む力って、そもそもなんなのか?
…は、別に考えなければならない。
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