超銀礼賛

浮気と嫉妬
そんなわけで(しみじみ)
 
超銀において、お嬢さんはしまむらに尽くす。
尽くして尽くして尽くしまくるのだった(しみじみじみ)
 
ソレって、しまむらにとってもオイシイことなんじゃない?とうっかり思ってしまいそうだけど、違う。
 
ヒーローに尽くすヒロイン、というもの自体は別に珍しくない。むしろ、大抵のヒロインはそうなのかもしれない。
超銀お嬢さんがスゴイのは、前述したように、映画まるまる一本でソレを主張している、ということなのだった。
 
超銀は9好きにはツライことが多いと思う。
だって、お嬢さんがどんな不幸にも理不尽にも負けず、けなげにしまむらを愛し尽くし続ける、ということを描写するためには
 
お嬢さんを襲う不幸&理不尽
 
から目を背けるわけにいかない。
つまり、お嬢さんを描くために、しまむらはなんというか
 
不幸と理不尽の元凶
 
でなければならないのだ!お気の毒です(涙)
 
超銀はほんとーにしまむらに情け容赦がない。
9好きとしてはこんなの009じゃない!(涙)と叫んでいい……というか、叫ぶべきだと思う(しみじみ)
もちろん、ソレがもっとも顕著であるのは言うまでもなくタマラさま事件
 
実は新ゼロでも似たようなことがあった。言うまでもないがマユミさん事件だ。大変な事件です(しみじみ)
新ゼロには他にもキャサリンさま事件があるけれど、それでもマユミさん事件に比べればいささかマシだと思う。
 
キャサリンさま事件がマシなのは、お嬢さんがしまむらに尽くす!という描写がほとんどないからだ。
もちろん、お嬢さんは嫉妬描写♪をしてもらっているので、彼女がしまむららぶ!であることは明瞭なのだけど、愛しているということと尽くすということは違う。
 
むしろ、キャサリンさま事件では、お嬢さんは嫉妬を見せ、怒る、というリアクションをとることで、尽くす女から半歩抜けだそうとしているのだった。
 
更に言うと、キャサリンさま事件ではしまむらが定番どおりのヒーローとしての活躍をすることができている。
そこに加えてお嬢さんを明瞭に嫉妬させることによって、しまむらはなんというか、昔ながらのよくあるヒーロー♪の像に近づくことができている。
だから、彼は余裕で嘯くことができるのだ。
 
浮気は男の甲斐性♪
 
……と。
 
それはそれでムカつく!という人もいると思う。だから、キャサリンさま事件が一番やだ!という人もいて当然なのだった。
 
マユミさん事件は、それとは本質的に違う。
一番ヘンなのは、お嬢さんが嫉妬を見せないということなのだった!
 
主人公がヒロイン以外の女性に思い入れを見せたとき、ヒロインは嫉妬し、それを見せなければならない。
なぜなら、嫉妬は醜いモノだからだ。
 
浮気だって醜いじゃないか、と思わなくもないけれど、浮気というのは見方を変えれば…って、変えるまでもなくなのだ。
主人公はソレに真摯に関わればそれですむ。が、嫉妬は違う。
 
主人公は、醜く嫉妬するヒロインの醜さを「許す」ことによって面目を保つことができる。
浮気相手には愛を示し、ヒロインには寛容を見せ、どーにかバランスを保つ。
それが、男の甲斐性、みたいなことなのだと思う。
 
だから、お嬢さんはマユミさんについてのしまむらの事情を聞いたとき、嫉妬しなくてはいけない。
なんでしなかったんだろうー(しみじみ)
 
決定的だったのは、しまむら救出の後のコックピットシーンだ。あれは衝撃的だった。
 
あくまでマユミさんを助ける、それがサイボーグとしてのつとめだ、としまむらが言う。お嬢さんがうなずく。それはそれでいい。
が、大事な手続きがひとつ抜けていたのだった。
 
しまむらがマユミさんを助ける、と言った次の瞬間、驚き、ソレを拒否するのは、他の仲間たちだった。が、そこがマズイ。
しまむらを非難するのはお嬢さんでなければいけなかったのだ!
 
何を言うの、ジョー!(怒)
 
のひと言でもいい。
お嬢さんが一旦ソレを拒否し、しまむらに説得される(しみじみ)形なら、フツーだったのだ。
が、新ゼロではそうではなかった。
あくまで嫉妬を見せず、しまむらへの愛情は示し、マユミさんにも優しいお嬢さん。
 
こんないい子に主人公としては何か報いてやるべきだろうっ!(怒)
 
だから、なんかやり残したことがあるようなくすぶりが残るのだった。
しかも、しまむらはこの話で定番の活躍を見せていないので、そのくすぶりを物語の定型の力でごまかすのも難しかった。
 
この傷は深かった……と思う。
しまむらが浮気♪した、というのなら、新ゼロより旧ゼロなのだ。旧ゼロはほんっとにスゴイ。
なのに、タラシと言われてしまうのはむしろ新ゼロしまむらだったりする。
 
ホントのところ、旧ゼロだったらキャサリンさま事件なんて、事件ですらないのかもしれない。
マユミさん事件が発生したことによって、しまむらは変質してしまったのだった。
 
それでも、マユミさん事件が発生したのは第20話で、まだ放送はあと30回くあった。完全にとはいかなかったけれど、しまむらはコレをなんというか例外……みたいな話としてごまかすことができたのではないかと思う。
 
……ってことで。
 
超銀がスゴイのは
 
全編がマユミさん事件!
 
…というところだと思う(涙)
そのポイントは、もちろん
 
嫉妬を見せないお嬢さん
 
であり、
 
定番の活躍をしないしまむら(倒)
 
…なのだった(しみじみ)
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