「誕生日の…プレゼント?」
「う、うん」
「そう言われてもなあ…?そんな習慣、僕の国にはなかったから…いや、もしかしたら、みんな忘れているだけなのかもしれないが」
「……」
「ああ、すまない…そんな顔しないでくれよ…つまり、僕が欲しいものを言えば、君がそれをプレゼントしてくれる…ってことなんだろう?」
「うん…ゴメン。ホントは、こうやって聞いたりしないで、君が欲しいものは何だろう…って考えるべきなんだけど…でも、やっぱり見当がつかないんだ」
「それはそうだろうな…僕たちは、文字通り、世界中から連れてこられた…文化も習慣もまるで違う者たちなんだ」
「…そうだね」
「ふふ、よくわからないけど、つまり、僕が今欲しいと思っているものを言えばいいんだろう?」
「うん」
「いくつも言っていいのかな?」
「あ。そうしてくれた方が助かる。全部あげるのは無理でも、大体のことがわかれば…」
「そうか。多少はサプライズがあったほうが楽しそうだな」
「そういうこと。…何が欲しい?」
「そうだな…自動小銃とか、ナイフとか…手榴弾でもいいんだが、とにかくフツウの武器があるといいな。あまり合理的な考え方ではないことはわかってるんだが、いざというときは、馴染みのあるモノが助けになるような気がするんだ…まあ、お守りみたいなものかな」
「…お…守り?」
「だが、日本では手に入れにくいんだよね…それに、まさかあのギルモア博士や001にそんな原始的なものを作ってくれ、なんて言えないしなあ…」
「え、ええと。確かに、武器は難しいけど、防具ならなんとなるかも…防弾チョッキとか、迷彩服とか…」
「ああ、いいな、それ!…やっぱり赤とか黄色ってのは落ち着かないし、生地がなんとなく薄いのも、正直頼りないんだよなあ…そりゃ、防御力で僕らのあの服に勝るモノなどないんだと…頭ではわかっていても、時々、あのズッシリした重みが懐かしくなることがある」
「…そんなものかな」
「ああ。もちろん、戦闘時には着られないけど…部屋にいるときなんかはいいかな」
「……」
「でも、そんなモノ、本当にこの国で売っているのかい?この間、003の買い物につきあって、馬鹿馬鹿しくデカイショッピングモールに行ったときに探したけど、気配もなかったんだよな」
「探した…のかぁ。うん、そういう店はめったにないけど…でも、通販なら…」
「通販…!ああ、インターネットか、なるほどな!」
「…008?」
「それは思いつかなかった…早速探してみる。ありがとう、009!」
「いや、そんな別に…って、だから。そうじゃなくてさ…!」
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