こそこそこくご


3    読書と読解力
 
読書は読解力・思考力をつける…という説は定番中の定番だし、それに異を唱える気持ちはない。
 
ただ。
読書をすれば必ず「点数のとれる」読解力が身に付くかというと…それはめちゃくちゃ怪しいと思う。
 
たとえば。
ある作家に魂を注ぎ込み、その作家の作品を読破し、たっぷり読み込むとする。
 
もちろん、読解力はつく。
その作家の作品が表現しようとしているコトに関する領域でなら。
でも、それが「点数のとれる」読解力であるかどうかは非常に怪しい。
 
特に。
特定の作家(筆者)に入れ込むことはある意味危険でもある。
その作家の表現を深く読み込む経験を重ねていくと、自然に、書かれていないことまで読みとる能力を養うことになってしまう。
 
それは、ものすごい読解力なのだが。
言うまでもなく、そこでしか通用しない読解力だったりする。
 
それでも、「読む」場合には、そういう経験が特にマイナスになることはないと思うのだけど。
「書く」ときは気をつけないと、恐るべきマイナスになる。
自分の言語体系(?)が、その作家・作品世界にしか通用しないモノになっている可能性があるからだ。
 
ただ…
それは、あくまで「点数のとれる」読解力・表現力について考えたときに言えることであって…
「読む力」と漠然と考えたときは、ただの文字列から他人の数十倍のイメージを膨らませることができる能力は、もちろんとてつもない能力なのだ。
 
ってことで。
読書好きなら、好きなものをぐいぐい読んでいけばよい。
それがどんなジャンルであっても、そこに入れ込むことで、精神世界(?)は確実に深く豊かになる。
 
…で。
もし、「点数のとれる」読解力を身につけるなら。
 
なるべくたくさんの種類の本を読むようにすればいい…わけで。
でもって、特に読んだ方がいいジャンルというのも当然あるので、それを読んでいけばいいのだけど…
それを好きこのんでする人はあまりいないと思う。たぶん。
 
読書は喜びだから、できるのだ。
楽しくない読書をすることなど、不可能で。
 
それでも、とりあえず読書の習慣のある人はない人より、「点数のとれる」読解力を身につけやすいと思う。
というのは、単純に、読書の習慣があれば、読書の技術(?)も身に付いているはずなので。
 
技術というのは…些細なことだけど、本を読む時間をどうやって確保するか、とか…
本に集中できる環境はどんなものだか自分なりに知っている…とか。
 
そういう、とても些細なこと。
でも、知らないより知っていた方がマシだと思う。
 
それがあれば、意に染まない読書でも、多少はやりやすくなると思うし…
意に染まないつもりで嫌々始めた種類の読書に、いつの間にかハマル…という幸運が訪れる確率も高くなる。
 
では、そういう種類の読書がどーしてもできない人は(できないのがフツウだと思う)どうすれば、「点数のとれる」読解力をつけられるのかというと…
 
馬鹿馬鹿しいけど、学校の教科書をよく読みましょう、ということになってしまう。
 
教科書は、授業で扱うわけだし。
サボってると怒られるし。
テストにも出るわけだし。(定期テストだけにしか通用しないけど)
 
仕方ない、やるか(涙)
 
…という諦めが最もつきやすい。
 
読解力は、読むことでしか身に付かない。
でも、好きでもないモノを読むのは苦痛なのだ。どーしても苦痛なのだ。
 
だったら…
諦めがつきやすい方法でやるのが一番いいような気がする。
 
…………。
 
すごく後ろ向きかも(汗)


| Prev | Index | Next |