こそこそこくご


6    電子辞書と古文
 
どちらかというと、古文の話になるのかも。
 
辞書を引く、というのはスポーツの基礎練習みたいなものだと思う。
 
電子辞書を買ってみた。
すごく便利。
辞書を引くのが全然苦にならないのだった。
すごい。
 
…でも。
 
もし、古典の勉強をしている高校生だったらコレは使わない方がいいと思う。
 
電子辞書は速すぎるのだ。
 
古典の勉強には、手間がかかる。
外国語を勉強するようなものだし。
でもって、外国語として学ぶとき、日本語がどれだけややこしいものかというのは、ここで改めて言う必要はない…ってくらいにややこしい。
ほんと、英語って簡単だとしみじみ思うのだった。
 
そんなわけで。
古典の勉強で、ある言葉をもたくた辞書で引くとき、真面目な高校生なら、ぐるぐる迷っているはずなのだ。
 
ホントにこの言葉でいいのだろうか?
これが終止形だろうか?
いや、これはひとつの単語じゃなくて、助動詞と助詞の組み合わせとかそんなコトではないのだろうか?
 
ぐるぐる迷い、考えながら目的の語を見つけ、それでよかったりやっぱり違ったり。
 
電子辞書では、ぐるぐる迷うヒマがない。
 
…が。
辞書を引いて口語訳することのホントの意味は、このぐるぐる思考にあるのだ…と私は思う。
 
それは、スポーツで言うところのランニングみたいなものであって。
電子辞書を使うことは、ランニングコースをクルマに乗ってぐるぐる回るのと同じ…って気がするのだった。
 
いや、そこまで言うと言い過ぎかも。
 
便利なのは間違いないし、口語訳のスピードが上がるコトも間違いなしだし…
それでも、高校生が古典を勉強する目的は、速く口語訳すること…ではないし、そもそも試験会場に持ち込めないモノを使って速く口語訳したところで、何の意味もないのだった。
 
とはいえ。
 
高校生が電子辞書で古典を勉強することに、やめろ!とはなかなか言えなかったりする。
 
というのは、電子辞書を使う高校生の多くは、もしそれを禁じられたら、辞書を引くこと自体を断念するような気がするのだった。
 
何にもしないよりは、電子辞書使って勉強した方が絶対マシだと思う。
 
それで勉強していって、壁にぶつかったら、それはそのとき考えればいいことなのだと思う。
 
さしあたって、いっぱい読む…ってことでいいのかもしれない。
せっかく速く読めるのだから。
 
それに、大学入試で扱う古文なんて、数が知れてるわけで。
数を十分こなしてれば、
「あ、これ読んだことがある…」
と、試験会場で安心できる可能性はかなり高いのだった。
 
う〜ん、それにしても便利だ〜、電子辞書。


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