第三章
019ジョーくんの魅力その1
~優しさと強さ~
そろそろ、019ジョーくんの魅力について考えてみないと。
何やってんだかわからなくなってきそう。いや、いいんだけど♪←こら(汗)
で、簡単に言ってしまえば彼の魅力ってのは
優しさと強さ
になるわけで(汗)。
それじゃ今までと同じいや今までのジョーくんの方がずっと…
…という見方もあるよな~とは思うんだけど。
でも。
私は、今までのジョーくんだと…
彼は優しく、強い。
…と言われても、
そうなんだろうな~ 主人公だし、人気あるし
…ぐらいにしか思っていなくて、ひたすらお嬢さんに血道を上げていたホントかよのだった。
ジョーくんがほんとに優しくて強い…って思ったのは019が初めてだと思う。あ。その前に『相剋』があるけど(笑)
正確に言うと、019ではジョーくんが変わった…のではなくて、その描かれ方が変わった…のかもしれない。
でもって、その描かれ方が私には受け入れやすかった…ってことなのかも。
そんなふうに思っている。
第一節
誰より弱くて誰より強い
00ナンバーは試作品だ。
後から繰り出されるブラックゴーストのサイボーグたちは、それはもう強力で。
ってか、強力でないと繰り出す意味ないだろう。真剣
原作のミュートス篇で、ジョーくんが
あとはゆうきだけだ!
…と叫んだとき、私は感動と同時に、
そうだろうともよ、大丈夫かよ~(涙)
…って思っちゃったかも(笑)
敵の方が強い。
これは、「009」のお約束なのだ。
だから、ヨミ篇までの原作の主流ではジョーくんの勝ち方は…いや、勝ち方というか。
負けたわけではないらしい(汗)
…みたいな感じなのだ。
ヨミの後でも、
「怪人島」では研究所壊されて敵には逃げられている。
「中東」は、001の覚醒でなんとかなった。
「海の底」では、悪サイボーグを倒しただけで、肝心の海底人はあっさり退いてくれたし。
「移民」でも同じ。結局敵が退いてくれている。
マトモに勝っていない~!!!!!
そりゃ…なんというか、雑魚には勝つ。でも、肝心の所にいくとな~(涙)
後期のインサイドストーリーでは、勝負よりも人間ドラマみたいなのに焦点がいってるので、ジョーくんはあっさり勝ってしまう。
で、分量としては結構多い。インサイドストーリーは。
しかも、巨大メディアで展開された新ゼロも超銀もインサイドストーリーなわけで。
私はまさにインサイドストーリーから入ったファンだったから…
戦闘らしい戦闘もなくあっさり勝ち進むジョーくんの強さ(笑)に慣れていたし、それがジョーくんだ…と思ってもいた。
しかし、このジョーくんが戦闘に苦労しないのは、彼が強いからではなく、敵が弱すぎるってことで。
いや、そもそも戦闘はどうでもいいストーリーだから、そういうことになるのだけど。
石森さんはジョーくんたちをパワーアップしない。
したといえばしたんだけど…地味。
完結篇でさえ、あの程度だったもんな~しみじみ←もっととんでもないことになると思っていた(笑)
てなわけで。(?)
ジョーくんはどんな敵より弱いのだ。本来。
でも、ホントにそれだとめんどくさくてやってられない(涙)し。
だから、そこはバックれる…という手法(?)をインサイドストーリーは…とってきた、と思う。
ジョーくんが弱いのは、ジョーくんが勝つこと、強くなることを目指しているわけではない…ことの現れでもあると思う。
ジョーくんは、強い敵に出逢ったからといって、山にこもって新必殺技の修行をしたりはしない。
そういう発想は、「009」には一切ない。
ジョーくんたちが目指すのは「勝利」ではなく、「解決」なのだ。
例外はブラックゴースト本体で。
これは…仕方ないのかな~、いくらなんでも(汗)
ブラックゴースト本体はジョーくんたちをサイボーグにした張本人なんだから、とりあえずはっきり敵でないと困る。説得されちゃってもな(悩)
彼らを倒すことが、ジョーくんたちの再生になるわけで…ってことは、物語上、ちゃんと勝利してもらわないとマズイ(笑)
さてさて。
019では、このジョーくんの勝利ではなく解決の姿勢と、どんな敵より弱いの法則(笑)が、インサイドストーリーにおいても、ぎりぎり可能なかぎり採用されていた…と思う。
後半にくれば、たいがい慣れてきたけど…
敵が現れるたびに吹っ飛ばされ、地面にたたきつけられ、気絶…ってジョーくんには、正直少々びびった。
私はもともとジョーくん眼中にないヒトだったからぼーっと見てたけど。
ジョーくんファンにはもしかしたら辛かったかもしれない。しみじみ。
でも、ジョーくんは吹っ飛ばされて気絶したりするんだけど、気がつくと、また起きあがって元気に(笑)戦い始めるのだ。そしてまた吹っ飛ばされ…(笑)
お前には学習能力というものがないのか>ジョーくん(涙)
とか思いながら見ていたんだけど…でも。
学習なんてしても意味なかったのかもしれない。ジョーくんには。
今、この壁を越えなければならない。自分が。
だから、撥ね返されても撥ね返されても、またぶつかるしかない。
ほかに先に進む道はないのだから。
かなわないことは何となく(笑)わかってるんだけど、でも他に道はないから。
ジョーくんは起きあがって元気にぶつかって、ふっとばされて、また起きあがって元気に…(涙)
ほんとに…お馬鹿さんだ、ジョーくんは。
でも、ジョーくんは壊れない。
そこが、強い。
敵を倒せるから強いのではなくて。
倒せるかどうかアテにならないのに、何度でも向かっていける。
死ぬかもしれなくても、向かっていける。
まだ死んでないから(笑)
で、死んでしまったら、ホントにただのお馬鹿さん…ってことになっちゃうかもしれないんだけど、ジョーくんは死なない。死なないのだ。
スカールさま…
こんな変なヤツを敵に回してしまったアナタに、ほんと同情しますです~(涙)
こんな変なヤツ、敵に回してはいけないのだ。
だから。
ジョーくんに敵はない。
ジョーくんは強い。
…なんか、騙されてるよーな気がしてならないが(涙)←自分で言うな(汗)
第二節
殺したくないけど殺す
殺したいから殺す
ジョーくんは優しい。
優しい人に、ヒトを殺すことができるのだろうか?
きっと、できる(小声)
でも…
誰にでも優しい正義の少年ジョーくんが、ヒトを殺す…ってのは、やはりなかなかヤバイことではないかと思うのだ。
どう考えてもなんか変。矛盾してるというか…
ただ、それを考え始めると、物語そのものが崩壊しそうな危険すらある…かもしれない。
だから、それについてはバックれる。
というのが…今までの009のお約束だったと思う。
当たり前だ。
バックれなければ、話が進まんっ!!!!!(怒)
…で。
実際話が進まなかったのだ(涙)
019のアフリカ篇…第14・15話。
サイボーグマンを殺すことができないジョーくん。
いや…一度は殺した。
第14話で。
例によって(笑)すっげー悲しそうな顔のジョーくんがアップになったりしたが。
でも…
019ジョーくんはほんっきで悲しかったのだ。
番組が終って次の週になっても、それを覚えてるぐらい(笑)
仲間達は「やむを得ない」という。
サイボーグマンたちには、心がない。
だから、説得なんてできない。
…話としては、それで終わりだ。
でも、ジョーくんは納得できない。
サイボーグマンを殺すのはしかたない(悪いことではない)
…と、彼には思い切れないのだ。
ジョーくんは正しい。
命ある者の命を絶つことが許されないことだというのなら…命ある者を「区別」するのはマズイ。
コイツは死なせてはならない。
コイツは死んでもしかたない。
誰が、それを決めるのか????
ジョーくんは正しい。
命が無造作に奪われることに対して怒り、戦うのなら…
その命ある者を選んだりしてはいけないのだ。
ジョーくんは、未来を信じている。
今は敵でも。
今は絶望しか見えなくても。
未来に希望を持っているのだ。
殺すことは、その者の未来を断ち切ることだ。
しかし。
第15話で、ジョーくんは「もう大丈夫だ」と言って、敵に向かっている。
大丈夫…って何が?>ジョーくん
戦わなければ、自分だけでなく、かけがえのない仲間まで危険にさらすことになる。
戦わなければ、自分の信じる未来に向かって進めなくなる。
だから…行く手をはばむ者を、殺す。
それは正しいことか。
勇気ある行為なのか。
ジョーくんは「もう大丈夫だ」と言う。
もちろん、その意味は、
僕は、大丈夫だ。
…ということで。
なぜ大丈夫になっちゃったのか?
この場合なら、ヒトを殺してもいいということがわかったから、もう平気だ、と言いたかったのか?
ヒトを殺しても大丈夫なくらい、僕は強くなった、と言いたかったのか?
いや。
ジョーくんは、ヒトを殺す、という決断を自分だけでする。
正義とか、仲間への思いとか、そういうものを混ぜてごまかしたりしないのだ。
僕が殺したいから殺す。
それだけ。
たぶん、それだけだ。
ジョーくんは「大丈夫だ」と言う。
誰も言ってくれないから、自分で言う。
ジョーくんは優しい。
ジョーくんの心のどこをどう探しても、ヒトを殺しても大丈夫だよ、と言ってくれるモノなど見つからないだろう。
だから、ジョーくんは自分で言うのだ。
もう、大丈夫。
大丈夫じゃないよ~(涙)>ジョーくん
殺したくない。
でも、殺す。
殺さなければならないから殺すのではない。
殺さなければならないと、僕に命令するモノなどない。
僕が殺したい。
僕は殺したくない。
僕は殺したい。
だから、殺す。
ヒトを殺すとき、ジョーくんの心は引き裂かれ、血を流している。
その痛みと苦しみは、ジョーくんを直撃しているはず。
でも。
ジョーくんは言うのだ。
もう、大丈夫。
…大丈夫じゃないだろう~~~っ!!!!(涙)
第15話で、ジョーくんはついに殺す理由を悟りはしないし、まして語ったりもしないのだ。
彼はただ、殺すことを決意する。
そして、「大丈夫」と微笑む。
そんなジョーくんを励ますのは…ジェロニモ(涙)
彼にしかできないだろう。
ジェロニモも、きっと、知っている。その苦しみを。
メンバー中、一番ソレを知っている…と思われるのが、ジェロニモなわけで。
その彼に「しっかりしろ!」と叱咤され、ジョーくんは戦う。
ジョーくんが、いつまでもどこまでも、ぎりぎりまで敵を殺すことをためらうのは。
それは、ジョーくんが納得なんてしてないからなのだ。
殺すことは正しいことではない。
殺したくない。
その思いが変わることはない。どんなことがあっても。
ジョーくんに、殺すことが正しいと言ってくれるモノは永久に現れない。
でも、ジョーくんは戦う。
僕が殺したいから、だから殺す。
そして、ジョーくんは言うのだ。
僕たちが、戦う最後の人間になろう。
だからといって、罪が消えるわけではない。
でも。
罪を負って生きる苦しみを知っているから、ジョーくんは「僕たちが最後」と願う。
ほんとに彼が戦う最後の人間になれたとしても、彼は救われない。
それによって、人々を救ったとしても、彼は救われないのだ。
それでも、彼は戦おうと思う。
新ゼロの合い言葉(?)は「誰がために」だったけど。
たぶん、019ジョーくんは「誰がために戦う?」とすら思わないのかも。
彼は、戦いたいから戦う。
戦いたくないんだけど。
でも、戦う。
戦う理由は、自分の中にしかない。
019ジョーくんはそれをわかっているような気がする。
第三節
そのまんまのジョーくん
019ジョーくんは不良じゃないらしい…?
と気づくのに、それほどかからなかったと思う。
不良じゃない…とは言われてない。
でも。
不良だった!と前面に出すこともしていない。
第7話には、鼻きずのヤスが0013のパンを狙っているのをみて、「まだそんなことをやっていたのか」というジョーくんや、神父を殺したのはジョーだと思っていた…というヤスの発言が出てくる。
ここから考えると…019ジョーくんは品行方正な少年ではなかったのかもしれない。
でも、少なくとも鑑別所(少年院)エピソードは消された。
あと。
019ジョーくんはレーサーではない。
これはしかたないかも。
お嬢さんが現役バレリーナではないのと同じ理由で。
視聴者がホンキにしてくれないかもしれないもんな~、サイボーグの片手間にF1レーサーできるなんて。(汗)
ともかく。
この二つ不良でないこととレーサーでないことが、019ジョーくんに及ぼした…というか、見ている私たちに及ぼした影響は小さくなかったと思う。
だって、改めて思うではないか。
ジョーくんからレーサーと不良をとったら、何が残るのかっ?????
…いや。残るはずだけど。
レーサーも不良も、原作ではほとんどストーリーと関係ないトコロの話だし。
新ゼロだと、ほんの少し影響が出るけど…でも大したことない…と思う。
009と、レーサー&不良は話と何の関係もないのだ。落着いて考えると。
でも。
落着いて考えることができるのは、私がジョーくん眼中にない人だからなんだろう。
もし019お嬢さんがバレリーナじゃなくて、パリにお兄さんなんていない人だったら…
私とて、か~な~り、とまどったと思うのだ。
もちろん、それって、ベルリンの壁越えをしなかったアルベルトさま…でもきっと同じことで。
良家に育ったジェットとか。それはそれでおもしろいか?(汗)
原作ジョーくんは登場したときから不良だった。
登場したときは、不良出身の正統派ヒーローってので驚かれたというのだから、そのインパクトはすごかったんだろうと思う。私が009を知ったころは、それほどでもなかったかも
それを削る…というのは、たしかにツライ。
特に、古いファンにとっては痛恨の極みというか。
…でも。
そんなことは制作者にも分かっていたはずで。
いや、制作者はどうでもいいんだけど。
一方。
話が進むにつれ、ジョーくんが不良であった…という過去は、物語の中で、あまり意味をなさなくなってしまった。
少なくとも、ヨミ篇が終ったところでは、もう完全に必要なくなっている。
主人公のキャラクターを裏付ける設定として考えようとしても。
これも必要なくなっている、いや、むしろ邪魔になっているのではないか…と思う。
ジョーくんが母親を希求する気持ちは…それなりに必要らしく、後期の原作にも手を変え品を変え登場している。
でも、「不良」は…(悩)
どう言い訳しようと、
他人を傷つけることによって自分を守る。
…って発想で行動してるわけで。
これは、実際、ジョーくんからは遠い。
ジョーくんの強さは、絶対に他を傷つけまいとする、時に理不尽なほど強固な意志なのだ。
少なくとも、今の019ジョーくんはそうだと思う。
ジョーくんは、しつこいけど弱い。
めちゃくちゃ弱い。
弱いジョーくんの唯一最大の取り柄が優しさである以上、それを傷つけることはできない。
非常識なほど完璧に馬鹿馬鹿しく優しいから、ジョーくんは強いのだ。
不良、は困る。
いや、現在のジョーくんが不良である必要はない。でも過去のジョーくんまでそうしなくても…
と考えると。
じゃ、彼はドコで、なぜ、『改心』したのか…?
…ってことになる。
これがツライ。
というのは。
「不良」が改心するのは…「愛」の力。
というお約束が、物語には存在したりするわけで。
もちろん、他にもありうるんだけど、何も語られないときには、お約束が適用されやすい。
009では、ジョーくんの改心について何も語られていない。
お約束を発動するべきケースではないかと思う。
で…愛の力だとしたら、その「愛」はどっからきたのか?????
……お嬢さんから。
遺憾だがおいそうなるのが自然だったりして。
でも、お嬢さんをジョーくん専属癒し係に固定するのは、それはそれで難しいのだ…ってか、それはもう、なんか別の話になってしまうというか。
第一、そのためにはお嬢さんをある意味ジョーくんの師匠にしなくちゃいけないわけで…
ジョーくんより以上に、少なくとも同等に清らかな聖女として彼女をとらえなければならなくなるわけで。それはそれでイロイロ大変というか…(悩)
だもんで。?
もちろん、ジョーくんの「改心」は描かれない。
いや、描かれていなくてもいい。見えないところで、それがあったと思う、その行間を埋める見方が気持ちいいのだ!
…ってのもありかもしれないが。
でも…とりあえず。
019では、ジョーくんが不良であった過去が削られ、019ジョーくんらしい強さ(ってか弱さ)と優しさとがすんなり過去から現在へ続くようになっているのだ。
…ってことは。
お嬢さんのジョーくん癒し要員としての役目もいらなくなる。
せいせいした♪(笑)
と私は思ったりしてるが…それはそれで寂しい、のかもしれない(悩)
不良でないジョーくん。
孤児ではあったけど、混血児として貶められたとはされていないジョーくん。
レーサーでない(ってか無職)ジョーくん。
なんというか…
ドラマティックに盛り上がる(?)設定はことごとく削られた。
こんなどんなだよだけど、ジョーくんってホントは強いのよっ♪
…と、私たちは言えなくなってしまった。
何でもなさそうな敵にいちいち吹っ飛ばされ、悩み、仲間に叱られるジョーくんがそのままジョーくんだったりするのだ。
でも。
ホントは強いのよ♪
と心でつぶやき、私たちが心で思い描いていた強さは、019のジョーくんの強さではないのかもしれない。
一番019ジョーくんらしく強かったのは、やはり「結晶時間」だろう。
何があっても壊れないジョーくん♪つよいぞ♪
って丈夫にできてるってこと?(汗)←やめなさい
ジョーくんは強い。めちゃくちゃ強い。
あのだからどの?見かけにごまかされてはいけない。
ジョーくんは、どこにでもいる少年ではない。
それは、困難にあたったとき、わかる。
彼はどんなときでも人を信じ、愛そうとする。
信じたいときだけ信じるのではない。
彼は、強く、優しい。
強いから、常識にとらわれることもない。
仲間みんなに非難されても、それは違う!と言える。
結構迷惑でめんどくさいヤツなんだけど。
でも、誰もが絶望し、何もかも投げ出したくなるような状況でも、ジョーくんは絶望しない。
彼はかたくなに人を信じ、未来を信じる。
自分が傷つくことを恐れない。
だから、ジョーくんは強い。
そのまんまで。
不良である必要も、レーサーである必要もない。
ジョーくんはそのまんまで強いのだ。
たぶん。←弱気(笑)
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