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非日常的009

凍る月(二条院讃岐)
 
露は霜 水は氷にとぢられて 宿借りわぶる 冬の夜の月    
               
          二条院讃岐 (千五百番歌合より)
 
 
今日も君が地上を照らす。
どこまでも続く闇。
どこまでも暗い一筋の道。
 
凍り付いた白い世界。
俺の進む道だけが、黒々と伸びる。
 
君は優しく舞い降りようとする。
森に、川に、野原に。俺の上に。
 
霜も、氷も、鋼の体も
君を浮かべることはない。
君は撥ね返され、空しく虚空にきらめく。
 
受け止めるものの何もない世界に
今日も君はひとり輝く。
君を浮かべ、君を眠らせ、あの夢に君を誘いたい。
 
二度と君を抱けないこの腕に
君は舞い降り、撥ね返され、それでもまだ空にとどまり、俺を見つめる。
 
今日こそ
君は諦めるかもしれない。
そのほうがいい。
この世界が闇に閉ざされても。
どこかで君が安らかならば、そのほうがいい。
 
君が照らす道を、ただ歩いてきた。
凍った世界を、終わらない冬を。
君の光に導かれ、君に焦がれて、ここまで歩いてきた。
 
でも、君は…
君はもう去っていい。
ここに、君の安らぐ場所はない。
どこかで…君が安らかならば…俺は…
 
 
…アルベルト
あなたは知らない。
私が舞い降りる場所は
この身をゆだね、まどろむ場所はここにしかない。
 
あなたが私を見上げるとき
あなたの瞳に浮かぶ熱い深い海。
 
すべて凍てついたこの世界で
私が安らげるただ一つの海。
 
だから、私を浮かべて、私を包んで。
静かに目を閉じて。
 
そして、一緒に眠りましょう。
今夜も、あの夢の中へ。
更新日時:
2001.12.12 Wed.
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Last updated: 2010/9/3