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009的国文

源氏物語 1
これはやめておけ〜(汗)というキモチと。
これはやらなくちゃな〜というキモチと。
 
う〜む(悩)
 
ってわけで、今回はちょっとだけ。
 
まずっ!
妄想するなら、ともかくもジョーくんを光源氏にしておかなければ話にならないのでやむを得ずそういうことにしておく。
ジョーくんは薫…って感じがするんだけどな〜
仕方ない。
 
で、手順としては…次に紫の上がフランソワーズ…?って展開になりそうなのだが。
今日はちょっとだけなので、話はあっちの方へ飛んでしまう(汗)
 
六条御息所である。(すごい〜、一発変換だ、ATOK!)
 
あのヒトはいったい何者なのか…と考える。
そりゃもう…生霊だったり死霊だったり。(汗)
 
ジョーくんが源氏だとすると…
六条御息所は誰か…と、考えずにいられない。
 
フランソワーズじゃないことだけは間違いない。(笑)
いや、フランソワーズだと考えると、それはそれでか〜な〜り、ユカイなのだが。
 
かつて。
私は源氏物語をずいぶんたどたどしく読んでいった。(今もだが)
 
今なら「あさきゆめみし」がある。
あれも、紫の上登場の辺りまでは捏造(笑)が多いが、その後は、はしょってはあるものの、描かれているコトはほぼ原文どおり…すごい。
 
ええと。
私が源氏を読み始めたころ、「あさきゆめみし」はその捏造の辺りまでしか連載が進んでいなかった。(涙)
与謝野晶子の解釈も、谷崎潤一郎の解釈も、格調高かったが、やはりわかりにくかった。
 
そういうモノをたどたどしく読みながら、疑問に思うことがいくつかあった。
そのうち、もっとも強烈にわからなかったのが…
 
六条院の場所…である。
 
六条院。
源氏が気合いを入れて作り上げた邸。
地上の極楽というか。彼の栄華の象徴でもある。
 
それが。
こともあろうに(と私は思った)
あの六条御息所邸の敷地に建てられている。
 
おかしい。
妻をとり殺した生き霊女の家(敷地)に、なぜわざわざ邸を造るのか。
 
…おかしいはずはないだろう。何かを読み落としているのに違いない。
 
当時、私は淋しくそう思った。
 
私が読み落としていた大きなことは、もちろん、御息所の娘、秋好中宮の存在である。
 
女三の宮降嫁以前の、六条院の女あるじは誰か…と考えたとき。
普通に考えれば紫の上…だが。
身分を考えにいれると、秋好中宮の存在も大きく浮上してくる。
 
秋好中宮は源氏の養女…ってことで、妻ではないが、女三の宮がくるまでは、女性たちの中で最も身分の高いヒトであった。
あれ?中宮と女三の宮…では、どっちが上の身分なんだろう…????やっぱ中宮か?(悩)三の宮はたしか二品の宮で…え〜と(汗)…って、ちゃんと調べてません〜(涙)
 
六条院とは、秋好中宮の里邸…でもあるのだ。
 
ってことは、彼女の母の敷地にその邸が建てられた…のだから、それほどおかしくない。のかもしれない。
 
う〜ん…
それにしても(悩)
 
で、それはちょっとおいといて。
六条御息所の初出は…?という問題を取り上げてみる。
 
一応、「夕顔」である。まさに冒頭。
 
六条わたりの御忍び歩きのころ、内裏よりまかでたまふ中宿に、大弐の乳母のいたくわづらひて、尼になりけるとぶらはむとて、五条なる家たづねておはしたり。
 
この「六条わたり」が六条御息所を指す。(ってか、他に該当者がいない)
書き方はさらっとしている。
この時点で、六条御息所との関係は既に既成事実…ってことで、源氏はこの日もおつとめ帰りに、彼女の邸に行って泊ろうとしていた。
 
ちなみに、「大弐の乳母」とは、源氏の乳母の一人。
彼女が重い病で、もう死ぬかも…って感じだったので、御息所邸に行く途中、お見舞いに寄ったのである。
 
乳母の身分はそれほど高くない。
貴公子源氏が、わざわざその家に出向く…というのは、異例の恐れ多いこと。
それをやっちゃう源氏は、ほんっとに心優しい人…という文脈ではあるが。
 
現代人から見ると、
 
恋人との密会のついでに、時間つぶしに寄っただけ。
 
という感も否めない(笑)
 
ついでに、この乳母の家に入ろうとして、ちょっと待たされてるときに、
 
隣の家になんか女がいるぞ〜?
 
と源氏は気づいたりする。それが、夕顔
で、源氏は待たされてる間に、ちゃっかり恋文なんか届けたりして(笑)
 
それはそれとして。
 
寄り道しながらも、源氏は六条御息所邸にたどりつき、その端正なたたずまいと、彼女のひととなりに緊張しつつ、一夜をすごす。
源氏物語にいわゆる濡れ場(笑)は描かれないから、そーゆー場面はない。六条御息所の風貌なども、ここではほとんど書かれていない。
この場面は、これだけ。
 
御心ざしの所には、木立前栽など、なべての所に似ず、いとのどかに心にくく住みなしたまへり。うちとけぬ御ありさまなどの気色ことなるに、ありつる垣根思ほし出でらるべくもあらずかし。つとめて、すこし寝過ぐしたまひて、日さし出づるほどに出でたまふ。朝明の姿は、げに人のめできこえんもことわりなる御さまなりけり。
 
源氏は、六条御息所がうちとけてくれないので、そりゃもう一生懸命になっている。相手はとにかく高嶺の花なわけで。
 
「ありつる垣根」とは、夕顔の垣根のこと。
 
寄り道くった女のことなんて、思い出してる余裕がなかった
 
…と言いたいらしい。
 
それでも、一夜を過ごすと、余裕の寝過ごし…がさすがというか、なんというかの源氏で。(笑)
その寝起き…朝の別れの姿も、めちゃめちゃかっこいい…ということのようだ。
 
その後、源氏は夕顔の正体について考えたり、前の巻でフラれた空蝉を思ったりでなにかといそがしい。
第一、源氏は藤壺女御へのかなわぬ恋にとらわれてるわけで…
 
それに、事実上の正妻、葵の上ともしっくりいかず…
 
こうしてみると、源氏って…17、8の少年の分際としては、ジョーくんと同じくらい、手に余る物思い…の持ち主だったりする。
 
で、次に六条御息所が出てくるときは…こんなこと言われちゃってる。
 
六条わたりにも、とけがたかりし御気色を、おもむけきこえたまひて後、ひき返しなのめならんはいとほしかし。されど、よそなりし御心まどひのやうに、あながちなることはなきも、いかなることにかと見えたり。女は、いとものをあまりなるまで思ししめたる御心ざまにて、齢のほども似げなく、人の煽り聞かむに、いとどかくつらき御夜離れの寝覚め寝覚め、思ししをるること、いとさまざまなり。
 
六条御息所がうちとけてくれなかったときは、強引と言うくらい、押しまくっていた源氏なのに、彼女がその気になってきたとたん、なんだか熱が冷めてしまったみたいなのはどういうこと〜?と作者も不思議がっている。
 
気の毒なのは御息所で、そもそも思いつめやすい性格の上、自分は年上で…こんな状態が人に知れたら、みっともない〜(涙)というキモチもあって、落ち込んでたりするのである。
 
二度目の登場でこれだもんな〜
なんか、とっても気の毒…だと思う。御息所って。
 
それに、やっぱりジョーくんは源氏じゃないよな(汗)
ジョーくんが強引に押しまくったりするかな〜?
しかも、自分になびく女に冷淡だったりするかな〜???
 
来るモノ拒まず去るモノ追わず 泣くけど。
 
が…ジョーくんのキホン…だと思う(笑)
 
あ。
でも、スケジュール調整がうまくできない…みたいな要領の悪さはジョーくんかも(?)
 
さてさて。
 
この巻は「夕顔」なので。
話は本題へと進み、源氏は夕顔と仲良し♪になる。
 
で。
まだ若くて、分別もなくて、世間知らずなジョーくんもとい源氏は、今まで会ったことのないタイプの夕顔…にも、身分違いの恋の物珍しさ…にも夢中になってしまう。
 
彼は、調子に乗る。
 
夕顔の家は、身分の低い者が住んでいる場所にあるので、源氏にとっては物珍しいが…ちょっと騒々しい。
夜中、源氏は彼女を「静かなところに行こう」と誘う。
 
女と逢うとき、彼女を家の外に連れ出す…っていうことは…普通しない。
ちょっと度を超えたことだったりする。
それだけ愛情が深い…という表現にはなるが、でも非常識なことだったりする。
 
源氏の非常識は続く。
 
彼は、無人の荒れた邸に彼女を連れ込む。
更に、夜が明け、昼になっても、勤め先(内裏)に行くのをさぼって、彼女との情事にふける。
 
これは…かなりマズイ。
何がマズイ…って…マズイだろう〜!!!
 
何がマズイのか説明しろ、と言われたら困るが。
真っ昼間の情事というのは…なんかマズイ気がする。
ただし、説明はつかない。
それでいい…と思う。
 
そのマズイという感じ…の隙間に、凶事は忍び込む。
 
二人は、それまで隠し合っていたお互いの素性をほのめかしたりなんかして、かなり劇的な(?)濃密な恋の時間を過ごしていた。
やがて、また夜が来る。
 
源氏は、寝ながらちょっと反省する。
何やってるんだ、自分は…わけがわからない。こんなに夢中になるなんて。
 
そして、六条御息所のことを思い出す。
彼女は思い乱れ、自分を恨んでいらっしゃるだろう。申し訳ない。
でも。
彼女が、もう少し、うち解けやすい人だったらいいのに。
この、夕顔のように。
 
そんなことを考えながら、源氏はうとうとする。
 
宵過ぐるほど、すこし寝入りたまへるに、御枕上にいとをかしげなる女ゐて、「おのが、いとめでたしと見たてまつるをば、尋ね思ほさで、かくことなることなき人を率ておはして、時めかしたまふこそ、いとめざましくつらけれ」とて、この御かたはらの人をかき起こさむとすと見たまふ。
 
物の怪が現れ、夕顔を襲い、殺してしまう。
 
この、物の怪のセリフだが…わかりにくい。
「おのが、いとめでたしと見たてまつるをば」
の解釈が難しかったりする。
 
「を」は接続助詞…と捉えると、
 
私が、とてもすばらしいお方、と拝見しているのに
 
となる。
この場合、物の怪の言いたい事は、
 
この私が、あなた(源氏)をすばらしい人…と思って慕っているのに…!なのに、あなたは私のことを訪ねてもくださらないで、こんな女と…!!(怒)
 
…ってことだろう。
見も知らぬ物の怪にこんなこと言われても困るが。
物の怪って、よく分からないけど、そういうことを言うもの…なのかもしれないが。
 
見も知らぬ物の怪じゃなくて、この物の怪は六条御息所の生き霊…と考えると、とってもわかりやすい。
そう考える人は多い。
なんつっても、彼女は後で葵の上を殺してるわけだし。
 
ただ…
妙なのは、この後、六条御息所は、この事件について何もコメントしてないのである。
葵の上を殺したときは、やっちゃった〜(涙)ということについて、彼女は葛藤してるし…自覚している。
でも、夕顔の死については…何も考えないし、行動しないし…そもそも、何も知らない…ように見える。
 
そこで。
もう一つの説がある。
 
「おのが、いとめでたしと見たてまつるをば」
の「を」は格助詞、と考える。それで、
 
私が、とてもすばらしいお方、と拝見している女性を、あなたは訪ねてくださらないで、こんな女と…!!(怒)
 
…って解釈だ。
 
この場合、物の怪は、六条御息所ではない。
通りすがりの…あるいは、その邸近辺に住み着いてる類の物の怪だろう。
 
で、その物の怪の言う「すばらしいお方」が…六条御息所…ってことになるだろう。
なんか、大きなお世話…って気もする(笑)
 
もちろん、現代なら、この物の怪は源氏の罪の意識が見せた幻…ってことになるはずで。この場面はやはりカタチは何にせよ、六条御息所につなげて考えるべきだ…と思う。
 
私は後者の説をとりたい。
物の怪が、六条御息所の生き霊だとすると…その後の葛藤が書かれないのは、やっぱり何か不自然だと思うので。
 
御息所は、恋敵(?)葵の上を殺した後、その罪についてかなり苦しむ。
死霊が六条院に跳梁したときも、娘の秋好中宮が悩む。
 
読み落としがあるかな〜?と思ったりもするのだが…
でも、「葵」でも、「賢木」でも、夕顔事件についての自覚は…御息所にないようで。
 
源氏も、夕顔事件と御息所とをはっきり結びつけて考えてる…って感じがあまりない。
 
源氏物語の成立論も考えにいれると、話は果てしなくややこしくなっていきそうだし、断言はできないのだけど〜(涙)もちろん、二つの説があって、どっちもいまいち定説…にならないってことは、証明がムズカシイ…ってことなのでもあって。
 
で、後者だとすると、
 
どうして通りすがりの物の怪がそんな余計なことを?
 
ってのがよくわからないのだが。
でも、源氏がやったことの非常識さを考えると…
彼には物の怪に突っ込まれる隙があり放題にあった…ってことは間違いない。
 
物の怪の考えることなんて、どのみち人間にはよくわからないわけだし。
わからないけど、まあ、そういうこともあるんじゃないの?
 
とか…ちょっといいかげんなトコロのある説だったりするのだが。
 
それで…この後者の説をとったとき。
 
御息所は、フランソワーズだ…!
 
と考えることが…もしかしたらできるかもしれない。
そして、たぶん。
 
物の怪は、私たちである。
 
フランソワーズを除けば、ジョーくんの恋人(になりそうな人)はみんな死んでしまっている。自分から身を引かない限り。
 
ヘレナも、ヘレンも、イシュキックも、タマラも、田代ミーも。田代ミーは生きてるのかも?
 
タマラなんて…ほとんどコレじゃないかと思ったり。
 
おのが、いとめでたしと見たてまつるをば、尋ね思ほさで、かくことなることなき人を率ておはして、時めかしたまふこそ、いとめざましくつらけれ
 
…って、私も叫んだよーな気がしてならないんだよな〜(悩)←ちょっとトボけてみたり(笑)
 
さらに。
その後の御息所の大活躍に注目してみる。
 
やがて源氏と別れた御息所だったが、その死霊は、紫の上を六条院から追い出し、女三の宮も出家させてしまう。
 
死霊…という、裏の存在(?)でありながら、源氏物語第二部の流れを導いているのが、彼女だったりする。
 
彼女のせいで(?)源氏は、六条院に「最愛の女性」を置くことができない
 
…とも言える。
 
例外かもしれないのは、明石の君だ。
でも、明石の君は…物語の中での役割が、ちょっと他の女性と違ってたりする…と思う。
これはまた後で〜♪(やらんでもいいぞ)
 
なんか…こうやって考えてみると…
なんかヤなんだけど。
 
もし、ジョーくんが源氏だとするならば。
 
六条御息所は私たち(女性読者)
 
…なのかもしれない。
どうも、そんな気がしてならない。
 
御息所は…ある意味、源氏を守護する存在でもある。
娘の斎宮(秋好中宮)を源氏に託し、出世の足がかりを作る。
 
紫の上のことだって…
彼女を病気にして、二条院へ追い出したら、深追いはしない。
嘆くジョーくんもとい源氏がかわいそうだから、そろそろカンベンしてやるか〜、なんて感じで。
 
ここではフランソワーズ=紫の上、なのかもしれない。
とりあえず見逃しといてあげるけど、いかなフランソワーズもとい紫の上であろうとも、
 
ジョーくんもとい源氏の一人占めは許さないぞっ!!
 
…みたいな。う〜ん、それではっきりしないとか?この二人…(悩)
 
もちろん、御息所が源氏自身に祟ることは決してない。
いろいろ言い訳してはいるけど、要するに、
 
だって好きなんだもん♪
 
…ってことなんだろうな〜(涙)
 
六条院は…源氏は彼女の手の中にいる。
彼女は、物語の外に立ち、源氏に強烈な愛情を送り続ける。
 
ジョーくんは…読者に愛され、護られて。
そして、恋人を失っていく。
 
う〜ん…(悩)
 
やっぱりジョーくんを源氏にするのはやめておこうっと♪チョット待て、それでいいのか?>自分(汗)
 
 
本文は、日本古典文学全集「源氏物語一」(小学館)より。
 
 
更新日時:
2002.03.10 Sun.
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Last updated: 2013/6/10