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009的国文

古事記 1の上
フランソワーズはブラコンだと思う。
だって、ジョーくんだってマザコンだし。(仕返しという訳ではない)
 
マザコンは正しい。
同様に、ブラコンも正しいのだ。
 
もちろん、どっちもやりすぎるとエライことになる、というか…
やってはイケナイこと…になっている。
タブー(禁忌)である。
 
なぜやってはイケナイのか?そりゃイケナイだろう。(自問自答)
いろいろ困ったことが起きる。
 
でも、問題を少しずらしたりする。
なぜ…なぜ、やってはイケナイということになってるのか?
 
それは、ほっとくとみんながやりたがるから……なのかもしれない。(ちょっと弱気)
ホントにおぞましくて、誰もやりたがらないことなら、わざわざ禁忌にする必要なんてない。
 
母が息子と。
兄が妹と。
 
どうこうする…っていうのは、実は大変に魅力的なことであったりして、それはもお、至高の喜び、究極の愛…神々の恋愛だったりして…それゆえに、ヒトには禁じられている。
 
「万葉集」など、上代文学の中で、恋人同士は「妹(いも)」「兄(せ)」と呼び合う。
それは、幻想の上では、兄妹こそが理想の恋人同士だからなのだ。
 
…とか、昔、説明を聞いたとき、何かエラク納得したような、たぶらかされているような感じがした。
それは今も変らない。
 
 
それで、「古事記」(中巻)である。
サホビコ・サホビメ…という兄妹がいた。開化天皇の皇子・皇女である。
サホビメは垂仁天皇の后となった。
 
ある日、兄サホビコはサホビメに尋ねる。
 
「夫と兄といづれか愛(は)しき」
 
妹は答える。
 
「兄ぞ愛しき」
 
おいおいおいおいおいおい(汗)
 
という感じだが、ココについては、後でサホビメがこのように弁解している。
 
「是の面(まのあたり)問ふに勝(あ)へざりし故に、妾(あれ)、『兄ぞ愛しき』とこたへき」
 
…つまり、面と向かって「夫と俺とどっちが愛しいか?」と聞かれたから、耐えられなくて、つい「お兄さんが愛しい」と言ってしまった…ってことらしい。
 
おいおいおいおいおいおいおい(大汗)
 
…いや?
でも、よくあることか?ジョーくんには???
 
ジョーくんのためにも、弁解を補足する。(笑)
実際にソレでは困ることもあるし、もっとしっかりしてほしいが(>ジョーくん)
こういうときのお約束…のひとつに、「目の呪力」みたいなコトがある。
マナザシは凶器だったりするのだ。
 
大きく目を見開き、気合いをこめて見つめられると…ヒトは弱かったりする。
そのヒトが弱虫なのだ…と言えばそれまでだが、これって相対的な問題でもあって。
ジョーくんがいくら強いヒトでも、その瞬間、超強力な念をこめて見つめられるとやっぱりマズイ。
見返さなければいいのかもしれないんだけど、ジョーくんはいつも、ついマジメに見返しちゃったりするみたいなので。
 
「目で殺す」のは、彼自身もよくやってることなので、たまには仕返しされても仕方ないと思う。(?)
 
それはそれとして。
 
兄の視線に負けたサホビメは、「本当に俺を愛しているなら、お前の夫の天皇を殺せ。二人で国を治めよう」みたいなことを言われてしまう。
 
そんなん、言うこときくなよ〜(泣)と思うが、そこは視線合戦の敗者。
サホビメは兄に逆らえず、眠る天皇を刺し殺そうとする。
 
ここに其の后、紐小刀を持ちて、其の天皇の御頸を刺さむとして、三度ふりたまひしかども、哀しき情に忍びずて、頸を刺すこと能はずして、泣く涙御面に落ち溢れき。
 
…なんか見たことあるよな〜、こういう場面…
ほんと、ジョーくん、覚えあるだろ〜?
最近だと、田代ミーとか。(笑)
 
彼女の涙で目を覚ました天皇は、サホビメに向かって、痛烈な皮肉なのか天然なのかよくわからないコトバを投げる。
 
吾は異しき夢見つ。沙本の方より暴雨(はやさめ)ふり来て、にはかに我が面にそそぎつ。また錦色の小さき蛇、我が頸にまつはりつ。かくの夢は、これ何のしるしにかあらむ。
 
…って、サホビメに聞くなよ〜(涙)
彼女はこれを聞いて、「争へじ」…もう隠せない、と思って、天皇にすべてを白状してしまう。
 
それもあっけなさすぎないか?
でも、仕方ない。
「見抜かれた」ってことで、勝負は決しているのである。
どうして、と言われても…
 
「おんなのこはおんなのこらしくしたほうがいいよ」
 
一言で敵に寝返ってしまう少女に、納得する私たちである。
こういうお約束には、とりあえず素直にしたがっておこう。
 
とにかく、古事記だから、天皇が最強でないと、ちょっと困る。
兄にそそのかされたブラコンの妻に文字通り寝首をかかれそうになる…なんて、いろんな意味で情けない…ような気もするが、ここは、どんなたくらみも…更にいうと、兄&妹という、幻想最強コンビでも、天皇を欺き通すことはできない…ってことになるわけで。
だから、それだけ天皇というのはスゴイ…ってことにもなる…といえなくもない。
 
さてさて。
騙されていたことを知った天皇は、すぐサホビコ討伐の兵を挙げる。
こうなったら、サホビコはおしまいである。
で、サホビメは。
稲城(要塞のようなもの)を作ってたてこもっている、兄のもとに走った。彼女は身重であった。
 
この時サホビメの命(みこと)、其の兄にえ忍びずて、後(しり)つ門より逃げ出でて、其の稲城にいりましき。
 
天皇は愛する后、身重のサホビメを案じて(っつーか、産まれてくる子のことも案じて)戦いをしかけられずにいた…が。やがて、御子が産まれる。
サホビメは、天皇に告げる。
 
「もしこの御子を、天皇の御子と思ほしめさば、治めたまふべし」
 
自分の子だと思ってくれるなら、この子だけはひきとってくれ、と言うのである。
天皇は、言う。
 
「其の兄を怨みつれども、なほ其の后を愛しむにえ忍びず。」
 
そこで、天皇ははかりごとをめぐらす。
御子を受け取るとき、子を抱いている后も無理矢理引きずって来い、と家来に命令するのである。これが失敗する。
 
…カンタンそうなのに。
ジェロニモに頼めば一発のような気がする。
でも、そうはいかない。ジェロニモも多分失敗したはずである。
問題は…
 
后の体にむやみに触れることはできない…ということである。
 
そんなこと言ってる場合じゃないよーな気がするが、そういうわけにいかない。
できない…っていうのは…つまり、規則でそうなってるから…ってだけなら、必要に応じてそれを破るのもありだが、それこそ一種のタブーだったりすると、とっさにそれを破るなんてのは、まず無理なのかもしれない。
 
家来たちは赤ん坊を受け取りざま、サホビメの髪や手や衣をつかんだ。
…が。
 
髪は引っ張られるまま、そっくり地面に落ち、手に巻いた玉飾りの糸は切れ、衣は破れてしまった。
サホビメは稲城に逃げ戻った。
 
サホビメは天皇のはかりごとを予測して、あらかじめ髪を剃り、かつらにしてアタマにのせ、玉飾りの紐も衣も酒で腐らせてすぐ切れるようにしておいたのである。
 
天皇、負け。
 
しかし、恥ではない。
兄妹の絆の前に破れるのは、ある意味お約束…当然だったりする。
 
むしろ天皇はがんばった。
 
サホビメに自分の殺害を思いとどまらせ、御子を手にしたのである。
よくやった、と言いたい。
兄妹…最強神聖カップルの前にあって、実によく健闘した。
 
この後、天皇は稲城にこもっているサホビメと、コトバを交わしあい、いろいろ打ち合わせ(?)をする。
子供の名前とか、乳母をどうするとか、次の后選びとか(笑)
なんか妙にも見えるが、この辺の文体は哀切である。
 
やがて、サホビコは殺される。
サホビメも兄と運命をともにした。
 
で。
 
フランソワーズはブラコンだったりする。
たぶん間違いない。
 
さらに。
 
ジョーくんは…サホビコか天皇か。
どっちにもなれるのだ。一応。
 
フランソワーズは、ジョーくんが「どこか兄に似ている」から慕うようになった…
という説は、大昔から存在している。
フランソワーズの兄はジャンだが…現実世界のフランソワーズが兄とどうこうするわけには絶対いかない。(違う話になってしまう〜)
 
…ってことは、「兄に似ている」から慕われる男…こそが、幻想上の兄…神聖なる理想の恋人なのである…と言っても、そうおかしくはないのだ。
 
よかったね、ジョーくん。
でも、ヨロコブのは早いぞ。(笑)
 
だって、イロイロ考えてみると…
ジョーくんはサホビコか天皇か。
 
天皇なんじゃないのか???(爆笑)
 
それはそれとして。
 
019第4話で、フランソワーズはついに、ジョーくんを「兄さんみたいだった」と言う。
初めてだ〜、こういうこと言うのは!
やっぱり、あの説(ジョーくんがどこか兄に似てるから説)は正しかったのだ!!
 
私はひそかに感動していた。
 
フランソワーズがなぜジョーくんにひかれたのか、原作を見る限り、よくわからない。
ジョーくんの場合は、もっとわからなかったりする(っつーか、ホントにひかれてるのか?おめーは?)
 
答えは、物語の外にあったのである。
これは強力だ。
 
物語は、外からの力にも支配されている。
外…っていうのは…いろいろあったりするが。
 
フランソワーズには兄がいた。
登場の仕方はちょっとコミカルだったけど、二人が愛し合っている兄妹だったことはわかる。
 
その前提が「009」という物語の外にある。
 
ジョーくんはジャンと似ているだろうか?
…どうだろう。(笑)
でも、いいのだ。「どこか」似ている…ってことなのだから。
 
ジャンが再登場するのは、奇しくも、009の実質的最終シリーズだったりする。
…なんか、暗示的かも(そうか?)
 
冒頭、フランソワーズは兄と暮らしている。ジョーくんとじゃないんだな〜、これが(笑)
 
ある日兄は不審な複葉機のことを妹に告げる。
そして、妹は兄に告げる。
「気味の悪い老人とすれ違って言われたの…ジョーに…殺されるって!」
 
でもって、ジョーくんはホントにフランソワーズを殺しちゃったりする。(笑)
 
すべて終わった場面で…
兄は妹に、あの複葉機のコトを話す。
 
ここで、ジョーくんの存在は完璧にシカトされている。(笑)
そして、妹は、何が自分の身に起きたのか…つまりジョーくんの活躍について、兄に何も語らない。やっぱりシカトされてるぞ、ジョーくん〜(汗)
 
このエピソードは、表面上、間違いなくジョー&フランソワーズを軸にした物語で…
なんと言っても二人の子孫も登場するわけだし。
ラストシーンに、お約束の後ろ姿ツーショットだってある。
読者は大いに安心できる。
 
でも。
その裏に…外側に、愛し合う最強神聖カップル…兄と妹が、一致団結して戦う物語…がぼんやり存在するのではないか…なんて思ったりして。
 
この場合、兄…の役割はジョー&ジャンが交互にこなしている。
妹は、フランソワーズが…二人
 
ついでに言うと、ジョー&フランソワーズの子孫は…ラスト近くで、始祖とはならず、死んでしまったりするのだ。これは…深い…っ!
 
けど、二人の子孫と始祖の関係について考えてると、さらに限りなく混迷しそうなので、今はやめておく。
 
それより…こんなこと書いてるうちに、019第11話がぁっ!!!(汗)
 
…ってことで、なんだかよくわからない部分をそのままに、「古事記1の下・第11話ネタばれ注意!」…に進むことにする。(おい)
 
 
『古事記』本文は日本古典文学大系。一部、表記をひらがなに直している。読みは同書に従った。
 
更新日時:
2001.12.27 Thu.
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Last updated: 2013/6/10